ワイドショー、いやらしい

最近あまりテレビ見ないのですが、たまたま電源が入っていたテレビでワイドショーを見てしまいました。ろくでもない番組です。先日の久間防衛相発言を取り上げているのですが、出演している(自称)ジャーナリストの人たちが、まず初めから久間氏の発言が如何に愚かな内容か、というテーマでディベートをしているのです。
番組の前提が「久間氏の愚かな発言」なので、発言の真意、正当性、評価すべき点、といった議論は皆無で、如何に自分が他のジャーナリストよりもケチョンケチョンに久間氏を批判できるか、という点で競争する番組のようでした。いや、ディベートというのは A という主張に対して肯定と否定の立場から議論をぶつけるものであって、あれはただの、言論のリンチではないか、と。そもそも、あらゆる人々の意見が同質で一定なら、わざわざ放送メディアを使って大衆を扇動する必要はないわけです。番組の黒幕に、大衆の意見を一定方向に誘導して、久間氏を引き摺り下ろそうという意図が働いているように見えて仕方がありません。(最近、こういう番組多くない? 昔はあまりなかったような気がするけど。)
だいたいこの手の番組が取り上げるテーマは決まっていて、政治家発言の批判、隣国の中傷、成功者と呼ばれる人たちの陥れ、です。中国産の農産物だって明らかにステレオタイプな批判で、問題は中国産だからではなく、中国にそのような悪質な生産者がいるらしい、というだけのことです。悪質な生産者は日本にもいるのに、これが中国産となると、鬼の首を取ったように「自称ジャーナリスト」が自分の知識を披露し出します。「ええ、私は確かに聞きました。他の国には輸出しない農産物を日本に出すことにしているんだそうです」。そんな情報、どこから仕入れてくるの? 2ch? 実に根拠希薄で中傷めいています。
高度成長が過去のものとなり、経済の後退で閉塞感に苛まれている今日、この手の番組は島国日本人のガス抜きをしていると理解すれば良いんでしょうか。少数意見を多数派の意見で押しつぶして優越感に浸る、というのは、日本人は小学生時代から持っているようで、学級委員会などで他人と違う意見を出せば皆にネチネチ苛められることでしょう。時代背景とイデオロギーが少し違っていれば、戦前の大○翼賛会とか愛○婦人会とかと、ほとんど違いのない、息苦しさを感じる今日この頃です。

追記

最近、ウナギ問題がにぎわっていますが、××国産がダメとか○○国産なら OK とか単純な話でなくて、どんな国にも善人がいるし、極悪人もいる、ということでしょう。問題を「国単位」で十把一絡げにして批判するのは簡単ですが、10 年後に、本当に世界経済や文化活動に発言力を持っている国がどこか、と問われれば、私は到底「それは日本でしょう」とは安易に思えませんね。人の振り見てわが振り直せ、です。まずはミー○ホープみたいな会社を容認しない(すぐに忘れて「ま、いいか」と妥協しない)強い意識が必要なのではないでしょうか。卑怯であったり、相手をだまして平気でいる、という姿勢を真摯に批判できるのは日本人の美徳だったと思うのです。

追記

> また○○○のニュースで醤油を頭髪から作っているというのも見ました

その技術(?)は、戦時中に日本人が考えたものだと、何かの書籍で読みました。毛髪はタンパク質なので、苛性ソーダなどで処理するとアミノ酸に分解し、さらに塩酸を加えれば塩化ナトリウム(食塩)を合成し、色も褐色で醤油に近かったそうです。もっとも、いくら戦時中とはいえども、(日本国内で)ちっとも売れなかったらしいですが。