強引な仮定をしてみる

引き続き、トランスの計算です。昨日得られた測定値を用いて、トランスの結合度、1次側および 2次側インダクタの寄生容量を計算することにしました。トランスの等価回路を使って、以下のような連立方程式を強引に立ててみました*1

\left\{\begin{array}{l}(j2\omega L+j2\omega M)^{-1}+j\omega C_1/2+j\omega C_2=-jB_I\\(j2\omega L-j2\omega M)^{-1}+j\omega C_1/2+j\omega C_2=-jB_R\\(j\omega L)^{-1}+j\omega C_1=-jB_L\end{array}\right.

ここで、ωは角周波数、L は自己インダクタンス、M は相互インダクタンス、C_1 はインダクタ自身の寄生容量、C_2 は 1次側と 2次側間の結合容量です。B_I は同相直列の場合のサセプタンス、B_R は逆相直列の場合、B_L はトランス 1次側および 2次側それぞれの(寄生容量を加味した)自己サセプタンス(?)です。
本来は分布定数回路なので、このようなモデリングが成り立つかどうかビミョーなのですが、とりあえず。ポイントは、1次側と 2次側のインダクタを直列にする際に、それが同相でも逆相でも、寄生容量は同じように現れるだろう、という仮定です。加えて、1次側と 2次側が対称なトランスを考えるとき、それぞれの側に現れる寄生容量の中点に現れる電位は、ホイートストンブリッジのごとく、等電位になるのではないかと考えたのです。(あまり自信はない)
もはや、連立方程式を手で解く気力のない私は、今回も Maxima のお世話になることにしました。最初、C_2 として 20pF を入れてみたのですが、なんだか結果が微妙です。もしかすると、10MHz で測定した結果を入れないとダメなのかも。とりあえず、C_2 を 0 (1次側と 2次側の容量結合なし)とした場合の結果が、以下です。

L=1.68uH
M=1.57uH
C_1=10.3pF

ここから結合度 k=0.93 を得ました。ふー。後日、C_2 を RF で再測定して、再計算してみようと思います。
ちなみに今までボケていたのですが、インダクタに並列の寄生容量がある場合、インダクタンスは「より大きく」見えるようになるんですね。インダクタンスとキャパシタンスは位相が π ずれている訳ですが、直列ならばインピーダンスを打ち消しあうのに対して、並列だと、インピーダンスを増やす方向に動く訳です。極端な場合が並列共振で、外から見たインピーダンスは無限大*2になる訳ですね。学校で教わったはずなのですが、感覚としては理解できていませんでした。(並列にしたら、インピーダンスが増えるなんて!) ちょっと勉強になりました。

後記

自宅に帰って、10MHz で結合容量を測ったら、やっぱり 20pF でした。うむむむむ。

*1:書き忘れてましたが、1次側と 2次側の巻数は同じです。

*2:レジスタンス成分がゼロの場合。