電子書籍は、ネットに次ぐ英語のグローバル化かも

最近は電子書籍ブームですが、iPhone でいろいろな電子書籍を試してみた感じでは、やはりバックライトのついた液晶画面で本を長時間読むのはしんどいです。Kindle が採用した電子ペーパー(E-Ink)の先見性に感心します。
インターネットの普及が、英語を国際標準語の地位に押し上げたと言われてますが、電子書籍は出版の分野でも英語の地位を固定しようとしているように思えます。昔は、洋書(多くは英語の書籍ですが)を購おうとすると、東京でも紀伊國屋八重洲ブックセンター丸善三省堂など大型書店に行かないと、読みたい本を見つけるのはほとんど不可能でした。おまけに、その価格はドル円レートを無視したような高額なもので、英語の専門書を入手したい学生を悩ませたものです。
しかし、Amazon.comKindle の本を探してみると、専門書も予想以上に電子書籍化されていることに気づきます。冷静に考えて、これは恐ろしいことだと思いました。昔は、日本国内で洋書を容易に入手することが困難で、これは文化障壁の一つを担っていた訳ですが、インターネットだけでなく、このような出版の世界でも海外との敷居が低くなってくると、英語の書籍を読むことのできる人間とできない人間とでは、圧倒的な情報収集力の差に繋がってきます。
Amazon.com で専門書を探したことのある方なら御存知のように、同じ分野の書籍でも、日本語を読める人間だけを相手にしている書物と、英語を読む世界中の人間を相手にしている書物では、発行部数が圧倒的に異なりますし、そこでの競争もグローバルな訳です。今までは、洋書は輸入が大変だから、という事情がありましたが、Kindle のようにネットで容易に(英語圏の人と同じ価格で)購入できるとなれば、もはや以前のような言い訳はできません。単純に、英語で情報を仕入れる語学力があるか否かで、取り込むことのできる情報の範囲が決まってしまう訳です。
私にしても、英語は正直苦手です。好きな小説家の作品は縦書き、ルビふりで読みたいのは間違いないのですが、「日本人は、日本語の書籍を縦書きで」と言っているだけでは、日本の国際的な地位はますます脅かされていくのではないかと思います。
それにしても、驚くべき時代が来たものです。