脱線のオーディオ試聴

先日、ふとしたことから高級ヘッドホンが欲しくなり、それから脱線生活しています。
今日は、iPhoneロスレスで録音した Mozart と、CD の聴き比べをしてみました。後者機器は、95年くらいに買った年代物の、当時はデンオンと呼ばれていたデノンの、いわゆるハイコンポと呼ばれたものです。スピーカーは鳴らさず、Shure の少し上級のカナル型ヘッドホンで聴きました。
私は高級オーディオケーブルとか AC 電源の極性とか信じてない*1普通の技術屋ですが、やっぱり、音質には差がありますね*2。好き嫌いの範疇かも知れませんが、ハイコンポのほうが高域まで伸びていて、解像度が高い印象です。
さて。最近のオーディオは iPodiPhone を利用する堅気の音楽ファンと、金に糸目をつけない団塊世代の音楽ファンに分かれているようで、どうも中間層が手薄に思えます。iPod は手軽で便利なのですが、もうちょっと真面目に音楽を聴きたいとなると、急激に手軽さが失われます。確かに中級オーディオ機器(一般的には高級と言って良いと思うが)は昔に比べても高価になっているわけではないのですが、いつまでもあのシステムコンポサイズを引きずっているのが理解できません。同工異曲としては、いまだにテレビを載せることを前提としたような AV 機器がありますね。
個人的には、ベッドサイドに気軽におけるサイズで、高級ヘッドホンを使って、iPhone よりは上質な音楽を楽しめるオーディオがあっても良いと思うんですよね。そのような機器もないことはないのですが、大抵は内蔵スピーカーで音楽を聞くようになっています。しかしスピーカーというのはある程度音量を出さないと良い音で鳴らないもので、あるいは iPod などと違いが分からないもので、日本の住宅事情を考えると、ヘッドホンで音楽を楽しむ分野に、もうちょっと光を当てても良いのではないかと思うわけです。マーケティング的に、市場のニーズに空隙があるように感じます。
ま、高級オーディオマニアというのは、自分の耳でよく分からなくても、ドでかいトランスが入って、ずっしりと重くて場所ふさぎのアンプや CD プレイヤーに多額の投資をするものでしょうから、オーディオメーカーとしては、そちらに注力したほうが利益が出るのかも知れませんが。ちょっと残念です。
かつて、ポータブルサイズのテレコでまともな音楽など再生できないと信じられていた頃に、ウォークマンで世界を席捲したかつてのソニーに、いまさらながら感心したりしています。脱線してきたので、この辺でおしまい。

後記

そんなことを知ったかぶりで書いていたら、こんな製品を発見。

オーディオテクニカという会社は、レコードプレイヤーのカートリッジとかディスククリーナーを作っている会社だと思っていたが*3、これは面白そう。ちょっと欲しいかも。
しかし、レビューは相変わらずのオーディオ雑誌調。胡散臭い。

後記その二

AV 機器メーカーの技術者さんより、新品の CD でも復元できないエラーが見られる旨、コメント頂きました。誤り検出訂正技術に依存しきった粗悪な CD が出回っているようです。もはや、オーディオの音質について議論する以前の問題のような気もしますが、注意したいところです。(どっちかというと、iTMS からネット経由で非圧縮レーベルを購入したほうがマシな時代なのかも知れない。)

*1:オーディオの世界と宗教には、ともに触れてはいけない領域がある。CD が出てきた頃、オーディオ雑誌は書くネタがなくなると思われたものだが、CD に重しを載せたり、金メッキの CD など持ち出して頑張っていた。CD に大きな傷を付けないように丁寧に扱っている限り、リード・ソロモンコードで復元できないようなエラーが出ることは、まずない(「後記その二」参照)。閑話休題。個人的には、そこまで電源にこだわるなら、機器共有の DC 電源装置を用意して、全てのオーディオ機器に DC で引っ張れば良いように思う。機器の内部まで、50/60 Hz の 100V 商用電源を引き込んでいる時点で、相当のノイズ源だと思うのだが、オーディオの世界は良く分からない。

*2:ちょっと自慢だが、かつて NHK 技研でディジタル衛星放送の音声コーデック選定の評価イベントに参加したことがある。超高級オーディオ機器が設置され、日テレなどの音声技術者が来ていたが、私には非圧縮 44.1kHz PCM と、MPEG-2 AAC の違いがほとんど分からなかった。全然自慢にならない…。

*3:冗談です。