トランスの勉強

昨日、一生懸命(?) 10MHz アイソレーション用のトランス*1を巻いていたのですが、あまり理屈は分かっていませんでした。いろいろ実験したのち、山村先生の定本を読んでたら、少しずつ理解が深まりました。
昨日、トランスの自己インダクタンス(励磁インダクタンス?)を 1.8uH 程度で設計していたのですが、これだと、1次側から 2次側を見たときのインピーダンスに、インダクタンス成分が強く見えるようです*2。インダクタンス成分が強く出ると、インピーダンスの絶対値が 50Ωに見えても、リアクタンス成分があるので、VSWR は 1 にならないのでした。勉強になりました。今度、やっぱりフェライトコアのトロイダルを買ってきて、作り直してみようっと。

齢四十にして学んだこと

いまさらですが、大事なことは、

  • 実験する
  • 書籍を読む
  • 式に代入して、自分で計算してみる
  • 実験と理論の間を往復する
  • 書籍に書いてあることを鵜呑みにせず、自分で考えてみる

ということではないか、と思いました。このような訳で、大学などでは電気実験や物理実験という科目があるのでしょうが、自分で考える時間が少なかったためか、あまり血肉になっていないようです。(反省)
また、書籍の解説に関して考えるに、そこではある特定の性能を追求するために、その問題を強調している場合もあるようです。しかし、その問題は、自分の用途においては害にならない場合もあるのではないかと思います。たとえば、結合度と容量結合の度合においても、そこにはトレードオフがあるということでしょうか。(当たり前かも知れませんが、自己完結ですみません。)

相互インダクタンスを計ってみた

昨日作ったトランスの結合度を調べようと思って、1次側と 2次側の同相(?)直列のインダクタンスと、逆相直列のインダクタンスを計ってみました。なんと、次のような結果になりました。(周波数は 10MHz です)

  • 1次側自己: 1.80uH (Z = j113Ω)
  • 2次側自己: 1.80uH (Z = j113Ω)
  • 同相直列: 7.44uH (Z = j468Ω)
  • 逆相直列: -0.46uH or 550pF (Z = -j29Ω)

逆相でインダクタンスが負になっているのは、なんでしょう。寄生容量が見えているのでしょうか。それとも、1次と 2次の間の結合容量でしょうか? (あるいは測定器が変?) いずれにしても、結合度はかなり高くなっていて、それに対して容量成分が強すぎ、逆相に繋ぐとキャパシタンスに見えてしまうのかも知れません。明日、等価回路でも書きながら、もう少し検討してみようと思います。

測定器の考察

私の使っている測定器ですが、直接測定できるのは、インピーダンスの絶対値と、電圧と電流の位相差(正確には、時間差)のようです。それ以外の値は、全てそこから導出しているみたいです。また、インピーダンスが大きすぎたり小さすぎたりすると、インピーダンスの誤差が増え、また、周波数が高くなると位相差の誤差が大きくなります。明日の再考察に備えて、上記の、直接求まる値だけもう一度確認してみました。(いずれも 10MHz で測定しましたが、さっきと少し違うのは御愛嬌。)

  • 自己インダクタンスの Z: j113Ω (位相角 +90度)
  • 同相直列の Z: j469Ω (位相角 +88度)
  • 逆相直列の Z: j14Ω (位相角 +90度)

ありゃ? 今度は、逆相でもインダクティブに見えるようになりました。ちょっと、ほっとしたというか、なんというか…。(測定って難しい。。。)

ついでに、自己インダクタンスの Z と周波数の関係

せっかくなので、これも調べました。結果については、明日、考察してみます。

  • 2.5MHz: j29Ω(位相角 +90度)
  • 5.0MHz: j58Ω(位相角 +90度)
  • 10MHz: j113Ω(位相角 +90度)
  • 20MHz: j237Ω(位相角 +86度)

ちなみに、20MHz 時の位相角の測定誤差は +/- 5度くらいあるようなので、実際にはほぼ +90度と考えて良さそうです。(レジスタンス成分は DMM で測定した結果、1次側、2次側ともに 0.10Ω程度でした。)

*1:伝送線路トランスでは、ない。

*2:計算がメンドーだったので、とりあえず結合度 k を 1 と置いて、励磁インダクタンスを振りながらインピーダンスの位相角を見てました。