Elecraft P3 お披露目

Orlando Hamcation で Elecraft P3 Panadapter が(正式?)発表されたそうで、Elecraft のメーリングリストは蜂の巣をつついたような大騒ぎです。発売は 4月くらいになりそうとのことで、現在想定される価格は USD 700 くらいだろうとのこと。
議論はもっぱら、この価格に集中しています。やれ、LP-PAN に比べると高価すぎるとか、おまえ、これはスタンドアローンなんだぞ、パソコンなしでウォーターフォール見られるんだぞ、とか、そんな議論です*1
個人的にはどちらの意見も正しいと思うのですが、私は $700 だったら買わないなあ。PC とサウンドカードと LP-PAN を合わせるより安いんじゃないの? と言われても、PC で実現することに比べる柔軟さには敵わないと思う*2。結局のところ、「綺麗な箱に全てが納まってて、PC がなくてもこんなことできるんだぜ」という自己満足のような気がしてきました。
実のところ、私は以前、DSP*3 と A/D コンバータを組み合わせて、HF ビーコンモニタを作れないかと考えていました。確かに専用ハードを使うと、消費電力、信頼性、コンパクトさの点で優れたものができる可能性があります。しかし、ここまで PC や PC 用(民生用) 192kHz サンプリングのサウンドカードが安価になると、ほとんどコスト的に太刀打ちできないということと、アマチュア的には実現の容易さというのも重要なファクタではないかと思われたため、とりあえず PC での実現に傾いています。もちろん、アマチュア的にはどんな作り方をしてもかまわない訳ですが、DSP で組んでも自己満足の域を脱しない気がするんですよね。
閑話休題。Elecraft P3 を見ていて、上のようなことを考えた次第です。P3 がなかなかお披露目にならなかった背景には、実は Elecraft 自身も上記の矛盾に気付いていたんじゃないかと。部材の価格と開発費を積み上げていくと、どうしても USD 700 という線は譲れないのではないか、と。さらに、同製品の競争力を考えると、大手アマチュア無線機メーカーの同等品にぶつけても十分勝ち目があるということではないか、と。その一方で、おそらく社内では、収益性よりも安価で高性能な無線機や自作の楽しみを提供することが同社の価値観だ、という意見もあったのではないでしょうか。この辺が、P3 が発表されるまでに時間を要した理由の一つではないかと、勝手に想像しています。
結局のところ、私の予想ですが、P3 はそこそこ売れるでしょうけど、K2 や K3 のように、誰もがそこに一定の価値を見出すような製品にはなれないのではないか、と懸念しています。一つ忘れてましたが、P3 にはおそらく、利用者の工夫という余地がほとんど残されていないことも問題のように思います。自作をするようなアマチュアは、工夫の余地というのを大切にしていると思うんですよね。

*1:他には、ヤエスのナントカに比べれば安いじゃん、とか。結局、無線家の高年齢化が進んで、みんなお金持ちなんでしょうなあ。

*2:それに、大抵のハムは、PC とサウンドカードを既に持っているでしょうから。

*3:私の生業なので。