「レンズのしくみ」

新宿紀伊国屋で、閉店のアナウンスに追い立てられながら買いました。帰りに電車の中で読んでみましたが、以下の書評(Amazon に突っ込んだものです)に書いたように、内容は網羅的なのですが、私にはちょっと中途半端に思えました。という訳で、★ 3つとさせて頂きました。ま、他人の書評なんてアテにならないでしょうから、実際に自分の目で内容を確認の上、御判断くださいませ。

レンズのしくみ (図解雑学シリーズ)

レンズのしくみ (図解雑学シリーズ)

以下、Amazon に投稿した書評

私のお勧め度: ★★★☆☆
望遠鏡の接眼レンズの構造や双眼鏡のアイポイント(アイレリーフ)を平易に解説している本がないかと思い、類書をいろいろ立ち読みしたのち、私の探している情報がもっとも網羅されているようなので、この本を購入しました。初歩的な内容はページ数を抑え、とにかく多くの項目を網羅しようとする姿勢は面白いと思います。
しかし、個々の項目に対する説明が簡素すぎます。各見開きの左ページでに説明があり、重要な数式が紹介されているのですが、理論的な意味合いや導出が省かれているので(末尾に簡単に記述されてはいますが)、右ページのイラストで著者の意図を読み取ろうとすることになります。しかし、これがなかなか難しい。結局は、Wikipedia などで関連情報を参照することになりそうです。
光学機器メーカーの重鎮だった著者のようで、おそらくメーカーの若い新入社員などが、周りにいる諸先輩などを頼りにしながら取っ掛かりを得ていくには有用な本でしょう。しかし、私のように独学で光学の基礎を知ろうとする軟弱者にとっては、技術を分かったつもりにすることもできず、かといって基礎をしっかり身につけることもできず、どっちつかずの内容に思えました。
やはり、接眼レンズの構造を 1380円で習得しようというのは、虫が良すぎたようです。

書評に書き忘れたこと

Amazon の書評に書き忘れたことを 2点。
一つは、1,380円というのは税抜価格です。税込では1,449円です。
もう一つは、イラストに技術的に誤っているものが多くて分かりにくい、という点です。たとえば厚いレンズの主点に関する説明ですが、同書のイラストでは意味不明です*1。著者自身はちゃんとした図を書いたのかも知れませんが、イラストレータが意味を解さずにお絵かきしてしまったのでしょう。私は、著者が脱稿前にチェックすべきだと思っています。他には、球面に対する曲率中心への法線が、接線に対してまったく垂直になっていないことです。このような図が多いと、読むほうは疲れます。

*1:秀和システムから出ている類書では、きちんと図示されてました。