半落ち

今回、何も本を持ってこなかったので、成田空港で横山秀夫の「半落ち」(文庫版)を買ってきました。

半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)

怪しい猟奇的小説かと思ってどきどきしていたのですが、そうではありませんでした。あらすじを書いてしまうとまずいので感想だけ。普段私の仕事ではあまり意識しないのですが、権威とか階級とか、そういう世界が本当にあるんだなあ、という感じです。今まで、警察と検察の違いもよく分かっていなかったんですが、なんとかくおぼろげにイメージがつかめました。「筋読み」とか出てきて、私は普段は役人っぽい文化に抵抗があるんですが、「これは、本当に頭が切れないとできない仕事だなあ」と、ちょっと敬服です。
主人公に感情移入するとか、最後に主人公の本質が見えてくるとかそういう点では普通の小説ですが、警察官も検察官も、はたまた裁判官も普通の人間で、家庭や職場の上下関係に苦悩したりとか、そういう点で興味深い小説でした。
私は以前にも、映画の「突入せよ!『あさま山荘事件』」を見て同じような視点で見てました。官僚主義的な視点だ、っていう人もいますけど、そこを暴露している意味もある訳で、地方警察を蔑んでいるというのとは少し違うと思っています。