デジカメのダイナミックレンジ

ラティチュードという用語のほうが一般的なのかも知れませんが、ここではあえてダイナミックレンジと呼ぶことにします。
先日、「鳥目」のことが話題になりました。といっても人間の夜盲症のことではなく、実際の鳥類がどれくらい暗いところで物が見えるのか、という話です。夕方になると、鳥は早々にねぐらに帰っていくものですし、いろいろな書物によっても、鳥類は夜目が利かないものと言われています。うちではオカメインコを飼っているのですが、夜、餌をやろうとするとき、部屋の照明をつけていても、どうも餌がよく見えていないようなのです。
私はこれを、鳥類の目の特性から来ているのではないかと考えました。子供の頃、人間は昼でも夜(の室内)でも、それほど明るさの変化を感じないが、これは目の絞りが重要な働きをしているのだという話を聞いたことがあります。確か、子供向けの科学書だったと思うのですが、カメラを固定露出に設定して、昼間の野球場、ナイターのときの野球場を撮影し、ナイターが明るいように見えても、実際にはどれだけ明暗に差があるのかを説明していました。非常に明瞭に覚えているので、たぶん印象深い内容だったのだと思います。
妻と「鳥目」のことを話していた際、このことを思い出しました。固定露出の撮影はフィルムカメラでは忍耐が必要ですが*1、デジカメであれば、固定露出でいろいろ撮影して楽しむことができそうに思いました。今日、そのことを思い出したので、カメラのマニュアル露出モードを使い昼間の屋外や屋内をいろいろ撮影してみました。驚いたことに、屋外では F4.6 1/125s で十分に明るく撮影できるのに、屋内はまったくといってよいほど何も写らないのです。ははん、これが人間の目の絞りの効果かな、と思い、試しに屋外と屋内が同時に写る構図で写真を撮ってみたのですが、やはり屋内は真っ暗に近く、しかし人間の目ではどちらも普通に視認できることに(再度)驚きを覚えました。
これはいったいどういうことでしょう? 人間の目は、同じ絞りの状態でも、明るいところから暗いところまでのダイナミックレンジが広く、明暗差が極めて大きい状態でも、脳の処理で(まるで覆い焼きのように)ダイナミックレンジを圧縮しているのでしょうか。明るさを単純に線形圧縮しても、非常に軟調な画像になってしまうことが予想されますので、線形変換(あるいはガンマ補正)ではダメで、覆い焼きのような非線形処理が必要に感じられます。勝手な想像ではありますが、人間の目ってすごいな、と思いました。
そんな折、リコーから新しく CX2 というカメラが発売されることを知りました。このカメラは、連写機能の高速性を利用して、露出の異なる複数の写真を撮影し、明暗差の大きなシーンでも白トビや黒ツブレをしないような写真撮影ができるそうです*2フォトレタッチツールによる覆い焼きのようなことを自動的に処理するのでしょうか。ちょっと興味があります。最近、EX-V8 と D70s の間を埋めるカメラ*3が欲しいと思っていたので、もしかして、ひょっとすると、買ってしまうかも…知れません。(← 結論はそこかよっ!)
RICOH デジタルカメラ CX2 ブラック CX2BK

*1:というより、真っ黒だったり真っ白だったりする写真を量産するのが忍びない。

*2:民生用のデジカメでなければ、いろんな技法で撮像センサのダイナミックレンジを擬似的に広げる技法は、従来から多く考案されているようだ。

*3:D70s は大きすぎて、さすがに毎日通勤で持ち歩くのは不可能に近い。