測定器フェチ

以下、酒飲み話としてお付き合いください。
オタクな話ですが、私は測定器が好きです。DMM (デジタル・マルチメーター)もそうですが、是非身近に置きたい測定器として、オシロスコープスペクトラムアナライザがあります。後者は本気で高価なので、ちょっと個人で買うのは大変です。
なぜ測定器が欲しいかというと、身の回りの技術畑の人でも、測定器で定量的な評価をしないで、五感で物事を判断する人が多いからです。ひどい場合には、「測定結果なんて信用できないよ。結局は、耳で聞いて良い音だと思うのが重要なんだよ」なんて言う技術者がいて、もちろん人間の五感というのは無視できない思うのですが、最低でも二重盲検法などの理解は必要でしょうし、やっぱり、定量評価というのはカガクの基本だと思うんですよね、私は。測定器で定量評価して有意な差が出るか出ないか、というのは、疑似科学から自己を守るための重要な手段だと思っています。
これも脱線ですが、昔、携帯電話端末の仕事をしているときに、音質評価に定量評価を導入したのが前職の上司でした。勤務先において、エタニ電機という会社の音響評価計測器を購入し、携帯電話端末の音質評価に数値を持ち込んだ功労者だと私は信じています。測定結果と主観評価に差がある場合、すぐに測定結果を無視するのではなく、「なぜ、そのような差が出るのか」というように考えるのが重要なのではないか、って思います。
さて、スペアナ(スペクトラムアナライザ)ですが、最近は民生用機器の性能が上がってきたため、安価に利用可能な「スペアナもどき」が身近に増えています。一つの要素技術(?)は、パソコンのサウンドカードです。192kHz サンプリングというような、音楽鑑賞用としてはオーバースペックと思えるようなサウンドカードが個人でも入手可能ですし、SoftRock のようなソフトウェア無線(SDR)技術を使うと、数千円の価格で 30MHz くらいまでの周波数をダイレクトコンバージョンで可聴帯域に変換可能でもあります。つまり、SoftRock とサウンドカードを組み合わせると、ちょっとしたスペアナが実現できるという訳で、この辺は、SoftRock や LP-PAN といった SDR のメーリングリストで、しばしば議論になっています。
実際に、これらを測定器として転用しようとすると、周波数特性とか、サウンドカードの非線形性とかが問題になる訳ですが、アマチュア的な定量評価であれば、けっこう参考になるのではないか、って思っています。ハードだけでなくソフトウェアも重要なのですが、SoftRock 用の Rocky とか、Spectrogram というフリーソフトウェアが、なかなか有効だと思っています。